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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻3号

1991年03月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的切除(1)―根治を目的として 主題

早期胃癌の内視鏡的切除―治癒判定基準と予後との関係からみた問題点

著者: 浜田勉1 吉峰二夫1 窪田久1 三輪洋人1 大蔵隆一1 梁承郁1 大野雅子1 渡邊晴生1 佐藤信紘1 滝和博2 白壁彦夫3

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器内科 2順天堂大学医学部病理 3早期胃がん検診協会中央診療所

ページ範囲:P.255 - P.263

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要旨 外科的切除された1cm以下の早期癌87例の癌浸潤先進部を検討し,陥凹型では4.1%,隆起型では7.1%に数個の正常腺管を挾んで非連続的に癌が認められ,最大幅は5腺管であったことから,内視鏡的切除の標本において癌と断端との間に正常腺管が10腺管介在することを根治切除判定の基準と定め,切除断端所見と予後の関係を調べた.当科で1cm以下の内視鏡的切除を行った58例61病変を対象にした.切除標本は平板に固定し,2mm間隔で全割し,深達度と粘膜面上での拡がりについて調べ,術後6か月以上(平均観察期間は21.4か月)経過観察し予後を判定した.癌と切除断端との間に正常腺管が10腺管(距離にして約2mm)以上ある34病変では再発はなく完全切除と考えられ,断端に癌は認めないが10腺管以下の17病変では17.6%に再発がみられ,不完全切除と考えられた.明らかに断端に癌陽性の遺残切除10病変では40%に再発がみられた.したがって,再発は切除断端の所見に左右され,根治を目的とした場合は完全切除の判定が必要と考えられ,また,不完全切除例と遺残切除例は胃角部から胃体部の小彎と後壁に多くみられ,占居部位による技術的な問題があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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