今月の主題 早期胃癌の内視鏡的切除(1)―根治を目的として
主題
病理学的にみた早期胃癌内視鏡的切除の適応条件
著者:
岩下明徳1
山田豊1
有田正秀12
八尾建史12
高崎二郎12
松井敏幸2
八尾恒良2
渕上忠彦3
松坂俊光4
有馬純孝5
所属機関:
1福岡大学筑紫病院病理
2福岡大学筑紫病院内科・消化器科
3松山赤十字病院消化器センター
4松山赤十字病院消化器センター外科
5福岡大学筑紫病院外科
ページ範囲:P.265 - P.274
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要旨 外科切除早期胃癌612例について,リンパ節転移の有無を中心に臨床病理学的立場から検討した.転移率は全癌11.4%,m癌2.4%,sm癌22.1%であり,男性8.1%,女性17.4%と女性に高く,癌最大径が増すに従って増加した.肉眼型別ではⅠ型25%とⅡa+Ⅱc型18.8%で高く,分化型腺癌9.7%より未分化型腺癌152%でやや高く,リンパ管侵襲程度に比例して増加した.転移のない癌は,①1cm以下すべての肉眼型・組織型の癌,②2cm以下のⅡa型癌,③2cm以下の隆起型分化型腺癌などが代表的なものであった.以上の結果をもとに早期胃癌内視鏡的根治切除術の適応として,a)1cm以下のすべてのm癌と,b)2cm以下のⅡa型癌と仮に規定し,その妥当性などについて簡単な考察を加えた.