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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻4号

1991年04月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の内視鏡的切除(2)―内視鏡的根治切除の評価 主題症例

内視鏡的ポリペクトミー後1年2か月の経過で再発をみたⅡc型早期胃癌の1例

著者: 長南明道1 望月福治1 池田卓1 藤田直孝1 李茂基1 小林剛1 安藤正夫1 松永厚生1

所属機関: 1仙台市医療センター消化器内科

ページ範囲:P.403 - P.408

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要旨 患者は66歳,男性.胃前庭部小彎のⅠ型早期胃癌に対し,内視鏡的に高周波ポリペクトミーを施行した.標本の組織学的検索ではcancer in adenoma,中分化型管状腺癌,深達度m,断端への癌浸潤(-)であったため,手術は不必要と判断した.切除後の経過観察中,1年2か月を経た胃内視鏡検査にて,同部に周囲隆起を伴う強発赤を認め,生検の結果,中分化型管状腺癌を認めた.ポリペクトミー標本と組織型が一致したため再発と診断し,胃切除術が施行された.病理組織学的には周囲隆起を伴うⅡC型早期胃癌,中分化型管状腺癌,深達度mであった.本症例ではポリペクトミー標本の見直し診断によって,隆起性病変のほぼ全体が癌であり,断端も片側で癌浸潤(+)であった.内視鏡的組織切除に際しては,標本の十分な病理組織学的検索,および生検を含めた術後の頻回の経過観察が大切であり,癌組織の残存の可能性がある場合は,切除部周囲の焼灼術など,併用治療が有効であることを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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