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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻5号

1991年05月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎の長期経過 序説

潰瘍性大腸炎の長期経過から学ぶもの

著者: 牛尾恭輔1

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部

ページ範囲:P.485 - P.486

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 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis,以下UC)は,主として粘膜をおかし,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性の非特異性炎症と定義されている.またUCは,活動期には大部分の症例で直腸から結腸に連続性,びまん性に粘膜および粘膜下層に,無数のびらんや潰瘍を生じる疾患である.粘血便が必発であり,直腸型以外では種々の程度の全身症状を示す.また,再発・再燃しやすい慢性の炎症性疾患で,30歳以下の成人に多いが,小児を含めあらゆる年齢層に起こりうる,とみなされる.

 私が最初にUCの患者に接したのは,20年前だった.全大腸炎型で1日8~10回の粘血便を訴える23歳の男性で,易出血性で数mmから1cm大の潰瘍が,無数にびまん性に認められ,恐怖心を持ったのを覚えている.だが,症例を多く経験し,それぞれの経過をみてゆくうちに,UCは内科的に十分にコントロールできること,症状と所見に波があり,季節の変わり目や,風邪などによって体調を崩した際に増悪するが,サラゾピリンとステロイドホルモンの増量によって十分に対処しうるという自信が,次第にできてきたように思える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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