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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻5号

1991年05月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎の長期経過 主題

潰瘍性大腸炎の長期経過―腸管の形態的変化を中心に

著者: 多田正大1 岡村雅子1 大塚弘友1 清水誠治1 磯彰格2 杉本鏞正2 川本一祚2 川井啓市2

所属機関: 1京都第一赤十字病院第2内科 2京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.495 - P.504

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要旨 潰瘍性大腸炎の長期経過中に生じる様々な変化のうち,特に腸管の形態的変化を中心に,短期群72例,中期群66例,そして長期群36例の病態を対比した.発症時の病変範囲が直腸炎型および左側大腸炎型のうち,炎症範囲が口側へ進展したのは短期群8.6%,中期群12.1%,長期群16.7%であり,ほとんどの症例では発症時に病変範囲が決定された.再発時には直腸よりもS状結腸以遠の深部腸管に著しい場合が41.7%にみられた.本症の活動領域は複雑であり,定期検査として直腸の内視鏡検査だけでは対応できない症例も少なくなかった.長期経過観察の過程で生じる腸管の変化として,腸管の短縮と狭小について検討した.短縮,狭小ともに高度な場合はなく,中等度ないし軽度の変形にとどまった.大腸の部位別にみると,これらの変形はS状結腸,横行結腸において著しく,直腸では軽微であった.経時的にみると,短縮は時間が経過するにつれて程度が進行するが,狭小は変化が少なかった.内視鏡的にみた緩解期の粘膜面の変化を検討したが,発症時の病変範囲,炎症の強さと持続期間に比例して,粘膜面に変化が残ることが確認された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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