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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻6号

1991年06月発行

今月の主題 Crohn病の長期経過

序説

Crohn病の長期予後

著者: 長廻紘1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.599 - P.600

文献概要

 Crohn病は早期診断が治療や予後にとってほとんど役に立たない.原因のわからない疾患の宿命と言えばそれまでだが,初期病変が,一見与しやすそうにみえるからなおさら残念である1).しかし,Crohn病の,特に合併症の管理に関しては以前に比べて格段の進歩がある.治らないが管理のできる疾患へ格上げされつつある.

 Crohn病が日本で注目されだしたのは,まず,欧米に多いが日本にない幻の病気としてであった.「胃と腸」がCrohn病を最初に取り上げたのは約20年前(1972年)の7巻12号腸の潰瘍性病変である.東北大学の石川誠らの論文“腸の潰瘍性病変一とくにクローン病を中心に一”は,Crohnらの原著(1932年)の要点の紹介をはじめとして,Crohn病の解説が中心となっている.その中で定型的Crohn病8例を経験していることを示している.おそらく当時日本で最も多い症例数であろう.他の多くの大病院では症例数はゼロか,あっても数例という時代である.同じ特集号で国立がんセンターの山田達哉らが“Crohn病も,本邦ではきわめて少ないかあるいは存在しないに等しい….発表している人もいるが,そのほとんどの場合は,診断が正しいとは言い難いように思われる”と記している.まだ暗中模索の時代であり現にみている症例が本当にCrohn病か否か自信をもって言い切れる研究者がきわめて少ないようにみえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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