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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻6号

1991年06月発行

文献概要

今月の主題 Crohn病の長期経過 主題

Crohn病の長期経過―初診時X線所見からみた合併症出現の予測

著者: 飯田三雄1 川崎厚1 興梠憲男1 松井敏幸2 岡田光男3 八尾恒良2 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学筑紫病院内科 3福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.613 - P.626

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要旨 初診時非手術Crohn病46例を5年以上X線検査で経過観察し,A群:初診後5年以内に重篤な合併症(口側腸管の拡張を伴う狭窄,内外瘻,膿瘍,穿孔,大出血)を伴った17例,B群:初診後5年以上の経過で合併症を認めなかった25例,C群:初診後アフタ様潰瘍のみを認めた4例,の3群に分類し,初診時の臨床像およびX線所見を比較検討し,以下の成績を得た.①AB両群間で有意な所見は病悩期間,小腸敷石像,小腸管腔狭小化,小腸裂溝,初回治療に対する反応性であった.②初診時X線所見をスコア化することにより,76%の症例(小腸病変86%,大腸病変56%)で合併症の出現を予測できた.これに初回治療に対する反応性を加えることによって,92%の正診率(小腸病変91%,大腸病変94%)を得ることができた.③罹患範囲の口側への進展は認めなかったが,3例で肛門側への進展を確認した.④C群の4例中3例は典型像へと進展したが,全例合併症の出現は認めなかった.以上の成績から,合併症出現を予知するうえで病悩期間,初診時X線所見,初回治療に対する反応性を組み合わせることが重要であると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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