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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻6号

1991年06月発行

今月の主題 Crohn病の長期経過

主題

X線・内視鏡所見からみたCrohn病の術後経過

著者: 八尾恒良1 櫻井俊弘1 有馬純孝2 二見喜太郎2 今村健三郎1 竹中国昭1 哲翁和博1 松岡義博1 畠山定宗1 樋口史彦1 松井敏幸1 岡田光男3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科・消化器科 2福岡大学筑紫病院外科 3福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.627 - P.642

文献概要

要旨 福岡大学第1内科,福岡大学筑紫病院内科で診断・治療し,有馬によって腸切除が施行された39例,48回(以後術後例)の手術後の経過を検討した.X線,内視鏡による術後観察期間(以後観察期間)は4.0±2.3年で,以下の結果を得た.①X線,内視鏡による再発率は79.2%であった.②再発の約90%は,(a)残存小腸病変の再燃(28.9%)と(b)多発アフタによる吻合部再発(60.5%)であった.③非切除部腸管に残された縦走潰瘍,敷石像を呈する病変は13例中11例が再燃した.それ以外の小病変が縦走潰瘍や敷石像に進展することはなかった.④多発アフタによる小腸再発は術後4か月から9か月の間に起こっていた.⑤多発アフタによる小腸再発例では4.3±2.8年で縦走潰瘍,敷石像へと進展し,6.0±2.0年でこれに狭窄を伴った.⑥残存大腸には検討された術後例の約30%に病変が新生した.大腸病変の新生は,ほとんどの症例で多発アフタによる小腸再発の後に起こった.上記の成績に文献的考察を加えて,①小病変を切除するための広汎囲切除は望ましくないこと,②術後の予後を向上させるために,手術法の再評価と,在宅経管経腸栄養など術後の内科治療の再検討が必要なこと,③吻合部口側(多くは小腸)と肛門側(多くは大腸)の病態の差を検討する必要があることを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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