icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻7号

1991年07月発行

研究

ポリペクトミーによる大腸早期癌の臨床病理学的研究―特に癌組織発生とその臨床的対応

著者: 尾辻真人12 中村恭一1 伴慎一1 大倉康男13 西澤護3

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2鹿児島大学医学部第2内科 3東京都がん検診センター

ページ範囲:P.793 - P.801

文献概要

要旨 癌組織発生の観点から,ポリペクトミーによって得られた大腸癌の臨床病理学的解析を行った.対象71個の癌は{癌 | ポリペクトミー,最大径1cm以上}と条件付けられた集合である.癌の組織診断は異型度係数を用い,de novo癌と腺腫内癌とに振り分けた.de novo癌と腺腫内癌の大きさについては,それぞれ平均13.6±3.62mm,13.1±3.01mmとほとんど差を認めなかったが,肉眼形態については前者に無茎性病変(Ⅰs,Ⅱa)が多く,後者に有茎性病変(Ⅰp)が多かった.癌組織発生別に癌腺管と粘膜筋板との関係をみると,de novo癌の癌腺管はその96%が粘膜筋板と接しているのに対し,腺腫内癌ではその60%が癌腺管と粘膜筋板との間に腺腫腺管や過形成性腺管を介していた.また粘膜下組織へ浸潤している例はde novo癌のほうが多かった.これらより,de novo癌は腺腫内癌に比して浸潤しやすい傾向があると言える.ポリペクトミー断端の組織所見についてはde novo癌の64%が断端もしくは断端近傍に癌腺管を認め,腺腫内癌のそれは24%であった,したがって,ポリペクトミーにおいて癌の遺残や再発の可能性を減少させるためには,癌組織発生を考慮した臨床的対応が望まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら