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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻7号

1991年07月発行

文献概要

症例

膵炎による大腸狭窄の1例

著者: 山田豊1 渕上忠彦1 岩下明徳2 桑野常文1 富永雅也1 川元健二3 若杉健三4

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2松山赤十字病院病理 3松山赤十字病院放射線科 4松山赤十字病院外科

ページ範囲:P.819 - P.824

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要旨 膵炎による大腸狭窄のまれな1手術例を経験した.患者は45歳,男性.左上腹痛を主訴とし,注腸X線検査で脾彎曲部に鋸歯状変化を伴う管腔狭小化所見を認めた.転移性大腸癌との鑑別を要したが,狭窄が高度な割には伸展性が比較的良好で,粘膜面には異常を認めないこと,原発巣が不明なこと,および1か月前に膵炎の既往があることなどから,膵炎に基づく大腸狭窄と術前診断した.病理学的には中等度の慢性膵炎の所見に加え,膵周囲組織を中心とする比較的高度の炎症細胞浸潤と線維化が認められ,この炎症性変化が直接波及して大腸狭窄を来していたことが確認された.転移性大腸癌と鑑別を要する大腸狭窄の原因として,まれではあるが膵炎も念頭に入れる必要があると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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