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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻8号

1991年08月発行

症例

潰瘍性大腸炎の経過中に狭窄および瘻孔を形成しCrohn病を併発した1症例

著者: 林繁和1 荒川明1 加納潤一1 古川剛1 中井堯雄2 松浦豊2 佐竹立成3

所属機関: 1名古屋掖済会病院消化器科 2名古屋掖済会病院外科 3名古屋掖済会病院病理

ページ範囲:P.937 - P.944

文献概要

要旨 患者は35歳,女性.主訴は発熱,下痢.1976年3月より潰瘍性大腸炎の診断で薬物療法を受けていた.1987年6月発熱,頻回の下痢にて入院.血沈の充進,CRP強陽性,α2-グロブリンの増加をみた.X線検査でS状結腸から下行結腸の一部に管腔の著明な狭小化を認め,第58病日のX線検査で狭窄部に瘻孔形成をみた.ED投与で瘻孔は閉鎖したが,狭窄は改善せず,下行結腸から上部直腸切除,下部直腸粘膜抜去,下行結腸肛門吻合術を施行した.切除標本では狭窄部に長さ3cmの縦走潰瘍を認め,その粘膜下に膿瘍を認めた.組織学的には口側は粘膜の萎縮,粘膜筋板の著明な肥厚,Paneth細胞の存在など潰瘍性大腸炎の所見があり,その他の部位や所属リンパ節には非乾酪性肉芽腫,膿瘍の中心部には裂溝を認めた.以上より本例は潰瘍性大腸炎の経過中にCrohn病が併発し,狭窄,瘻孔を形成したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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