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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻8号

1991年08月発行

文献概要

初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法

7.胃癌の深達度診断 ②陥凹型癌

著者: 石川勉1

所属機関: 1国立がんセンター病院放射線診断部

ページ範囲:P.950 - P.952

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 1.深達度診断の意義

 胃癌の手術症例における臨床病理学的検討から,深達度はリンパ節転移や予後との間に相関関係があると証明されている.したがって,胃X線検査による深達度診断は,外科的切除,内視鏡的局所切除や化学療法などの治療方針の選択あるいはリンパ節郭清範囲の決定に重要な意義をもつと考えられる.現在,胃癌の深達度診断を行うための検査手段には従来から行われている胃X線検査や内視鏡検査のほかに超音波検査(体外式と内視鏡的),X線CTやMRIなどがある.これらの検査法には各々特徴がある.一般的に,X線や内視鏡検査は粘膜面の変化をみるものであり,胃癌における粘膜面や周囲の変化から深達度を推定することになる.したがって,比較的浅い早期癌の診断に優れている.これに対し,超音波やCT・MRI検査では胃壁と腫瘍との関係を断面像として見ることができるので,腫瘍による胃壁内部構造の変化や漿膜外浸潤像・リンパ節腫大・他臓器への浸潤像を直接描出できる利点がある.したがって,胃壁の外側まで浸潤した胃癌の深達度診断をX線のみで行う必要はないと言える.

 今回は臨床的に問題となるunder-diagnosisを避けるためのX線上の注意点について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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