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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻8号

1991年08月発行

初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法

7.胃癌の深達度診断 ②陥凹型癌

著者: 西澤護1

所属機関: 1東京都がん検診センター

ページ範囲:P.953 - P.956

文献概要

 深達度診断ほどやさしそうにみえて難しいものはない.Table11)は25~30年前の自験例であるが,中間型としたのが現在言われている早期癌類似進行癌に当たる.当時は発見されるBorrmann型の進行癌が多く,進行癌の中に占める早期癌類似進行癌の割合は23%で,それらをすべて早期癌と浅く診断したとしても,全体からみれば早期癌か進行癌かの的中率は86%となる.しかし,最近の自験例ではTable2のごとく早期癌類似進行癌の進行癌に対する割合は45%と2倍になっているが,早期癌の発見数が多くなっているため,早期癌類似進行癌をすべて早期癌と診断しても,進行と早期の深達度診断だけなら90%的中することになり,臨床的にそれほど大きな不便を感じずに過ごしてきた人も多いと思う.

 これらのことは石黒ら2)により,より詳細に分析されている.すなわち肉眼的にBorrmann型としたものの進行癌であった的中率は98%,早期癌としたものの早期癌であった的中率は94%と,共にほとんど間違うことがない.しかし,早期癌類似進行癌としたものの組織的に進行癌であった的中率は67%と非常に悪いが,それらは進行癌といっても深達の程度が軽く,むしろsm癌に近い予後を示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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