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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻9号

1991年09月発行

今月の主題 Ⅲ型早期胃癌の診断に迫る―潰瘍の良・悪性の鑑別

主題

良性潰瘍とIII型あるいはⅢ+Ⅱc型胃癌の鑑別診断

著者: 清水宏1 馬場保昌1

所属機関: 1癌研究会附属病院内科

ページ範囲:P.971 - P.984

文献概要

要旨 X線診断の立場から,良性胃潰瘍とⅢ~Ⅲ+Ⅱc型胃癌の鑑別について検討した.対象は1965年から1989年までに癌研病院で切除されたⅢ型3例,Ⅲ+Ⅱc型8例である.なお,比較対照として粘膜下層に浸潤したⅢ~Ⅲ+Ⅱc型2例と良性潰瘍1例を用いた.要約すると以下のごとくになる.(1)X線・内視鏡検査時にはⅢ~Ⅲ+Ⅱcによく遭遇する.しかし,手術切除時ではⅢ~Ⅲ+Ⅱcは極めて少ない.これは陥凹型早期胃癌に合併した潰瘍は一般に浅く,手術までの短期間に潰瘍部が治癒しやすいことが考えられる.(2)良性潰瘍とのX線的鑑別診断:①Ⅲ型は極めて難しい.②Ⅲ+Ⅱc型ではニッシェ周囲の不整な淡い陰影斑が目安になる.特に分化型癌では不整な陰影斑の境界が棘状を呈することがわかった.(3)X線検査:①Ⅲ+Ⅱc型のⅡcが狭い病変では圧迫検査が適している.②Ⅲ+Ⅱc型のⅡcがやや広い病変では,潰瘍部に造影剤を流しながら撮影する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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