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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻9号

1991年09月発行

今月の主題 Ⅲ型早期胃癌の診断に迫る―潰瘍の良・悪性の鑑別

主題

肉眼所見からみた胃潰瘍の良・悪性の鑑別診断

著者: 岩渕三哉1 渡辺英伸1 加藤法導1 小山恒男1 前島威人1 渡辺和夫1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理学教室

ページ範囲:P.1002 - P.1010

文献概要

要旨 開放性潰瘍性病変の良・悪性の肉眼診断の問題点を知る目的で,開放性潰瘍を有する早期癌160個と開放性潰瘍392個を用いて肉眼的誤診を来しやすい所見を抽出した.癌の肉眼診断は粘膜内進展部と粘膜下層癌塊の判定に分けられた.粘膜内進展部の判定では(1)癌の見落とし,(2)癌と非癌(再生粘膜,随伴性胃炎,腺境界など)との鑑別が,粘膜下層癌塊の判定では(1)癌塊と浮腫・線維症の鑑別,(2)未分化型癌と線維症の皺襞集中像の鑑別が指摘された.癌の深達度判定では,過小診断には(1)粘膜下層への微少浸潤が,過大診断には(1)活動期潰瘍の浮腫,(2)治癒期潰瘍の線維症,(3)治癒期潰瘍の皺襞集中像が関与することが多かった.開放性潰瘍性病巣の肉眼診断では,消化性潰瘍の各時相での肉眼所見と,癌の組織型別にみた肉眼所見の違いとを組み合わせて肉眼所見を分析することが重要であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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