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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻9号

1991年09月発行

文献概要

今月の主題 Ⅲ型早期胃癌の診断に迫る―潰瘍の良・悪性の鑑別 主題症例

Ⅲ+Ⅱb型早期胃癌の1例

著者: 長南明道1 渋木諭2 望月福治1 池田卓1 松永厚生1 安藤正夫1 佐藤自伸1 富永現1 野村美樹子1

所属機関: 1仙台市医療センター消化器内科 2宮城県対がん協会がん検診センター

ページ範囲:P.1029 - P.1033

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要旨 患者は36歳,男性.胃集団検診(間接X線検査)で胃角部のニッシェを指摘され,内視鏡検査で胃角前壁に潰瘍性病変を認めた.生検の結果,Group V(低分化腺癌)で,Ⅲ+Ⅱcの診断で入院となった.胃内視鏡像では,胃角前壁小彎寄りに開放性潰瘍を認め,その周囲の発赤に不整がみられた.更に前壁側に広く淡い褪色域を認め,インジゴカルミン散布で境界明瞭となった.胃X線像では,同部に濃いニッシェを認め,その辺縁の一部に淡く小さなニッシェのはみ出しを認めた.また,周囲のアレア模様は不整かつ粗大となり,更に前壁側で広くアレア間溝が不鮮明となりバリウムの付着むらが認められた.以上から,Ⅲ+Ⅱbの診断で遠位側胃切除術が施行された.30×14mm大のⅢ+Ⅱb,潰瘍の深さはUl-Ⅱで,癌は潰瘍の辺縁でわずかにsmに浸潤していた.診断が困難とされるⅢ型の周囲に広くⅡbを認めた早期胃癌例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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