今月の主題 胃癌の自然史を追う―経過追跡症例から
主題
胃癌の自然史―噴門部癌の発育進展形式
著者:
西俣寛人1
瀬戸山史郎2
西俣嘉人3
美園俊明3
中原信昭3
政昌子3
江平征郎3
堀雅英3
入佐俊昭3
西俣寿人3
有馬暉勝1
永田政幸4
末永豊邦5
肝付兼達6
黒木克郎7
島津久明8
所属機関:
1鹿児島大学医学部第2内科
2鹿児島大学医学部第2内科 臨床検査医学講座
3鹿児島消化器研究会
4永田胃腸科外科
5南風病院外科
6曽於郡医師会病院
7黒木外科胃腸科病院
8鹿児島大学医学部第1外科
ページ範囲:P.25 - P.38
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要旨 噴門部癌の発育進展形式について,①診断切除された症例から,どのような病変が,どのように形態を変えながら肉眼的に進行癌に変化するのかを推測し,②毎年X線検査を受けていた症例で,突然大きな進行癌に変化した症例のX線像を検討することで,このような症例の発育進展形式を推測し,次の結論を得た.噴門部癌の大半は2cm以内でsmに浸潤し,潰瘍を形成せず,smにmassiveに浸潤する.またこの期間は癌としての肉眼形態に乏しく,pm以深にmassiveに浸潤し粘膜面を押し上げて隆起を形成するか,癌性潰瘍を形成して初めてBorrmann2,3型に変化する.また,少数ではあるが,癌が広範囲に進展し,sm以深にmassiveに浸潤しても粘膜表面の変化に乏しく,癌性潰瘍を形成して,突然巨大なBorrmann2,3型に変化する症例がある.