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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻1号

1992年01月発行

今月の主題 胃癌の自然史を追う―経過追跡症例から

主題

発育経過からみた胃癌の自然史―癌組織型と発育進展様式について

著者: 磨伊正義1 三林裕2 奥村義治2 高橋豊1

所属機関: 1金沢大学がん研究所外科部門 2公立能登総合病院胃腸科

ページ範囲:P.39 - P.50

文献概要

要旨 胃癌の自然史を知る目的で,過去10年間にprospective(一部retrospective)に経過観察可能であった胃癌32例(早期癌11例,進行癌21例)を対象に癌組織型と発育様式につき検討し,以下の結論を得た.(1)分化型腺癌の中で高分化,中分化型癌(tub1,tub2)14例のうち11例までが緩徐に発育進展を示す傾向にあり,早期癌から進行癌に進展する期間は平均5年2か月であった.しかし乳頭状腺癌(pap)3例の発育進展が速く,悪性度の高い癌と推測された.(2)未分化型腺癌15例(14例までが手術時進行癌)の発育経過をみると,①malignant cycleを繰り返しながら緩徐に進展するもの,②低分化腺癌でかつ充実胞巣型癌(solid type,medullary growth).発育進展が速く,高頻度に肝転移を伴う,③Borrmann4型胃癌,と3つのタイプに大別される.(3)原発巣が指摘され,かつ経過追跡可能であったBorrmann4型胃癌9例における観察期間は平均20か月で,うち2例は32か月前,40か月前に胃生検で癌を確認した症例であった.Borrmann4型胃癌の経過は意外に長いことが判明し,終局的には胃底腺領域を中心としたⅡc型早期胃癌の発見が鍵となると断言できよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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