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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻1号

1992年01月発行

今月の主題 胃癌の自然史を追う―経過追跡症例から

主題症例

胃角部前壁からの生検で癌が証明され,その6年2か月後にBorrmann2型癌として切除された1例

著者: 中野實1 松崎修2 藤本昌雄2 松下智人3 大西武司4

所属機関: 1市立伊勢総合病院放射線科 2市立伊勢総合病院内科 3三重大学医学部放射線科 4大西クリニック

ページ範囲:P.77 - P.82

文献概要

要旨 患者は66歳,男性.約6年前胃集検で異常を指摘され来院.胃角部前壁からの生検で癌が得られ,再生検でも癌陽性となった.しかし内視鏡像からは癌巣を確認できず,5か月後も同様の所見で,この時の生検では癌陰性であった.手術を勧めたが無症状のため拒否,結局癌の形態や範囲も明らかにされないまま放置された.初診から6年2か月後,貧血と下血のため入院.体下部から前庭部の前壁に大きなBorrmann2型病変を認め切除,深達度se,UI(-)の分化型癌であった.本例は,結果的には癌の自然史を観察しえたことになるが,初診時の内視鏡像の見直しでも癌の実態を捉えることができず,その初期像はUI(-),Ⅱb様の微小ないし小胃癌と推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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