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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻1号

1992年01月発行

研究

ras遺伝子異常からみた表面型早期大腸癌の特異性

著者: 藤盛孝博1 長廻紘2 里中和廣1 平山大介1 原田益盛1 村谷明久1 田畑知己1 北沢荘平1 池原英雄1 前田盛1

所属機関: 1神戸大学医学部第2病理 2東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.111 - P.117

文献概要

要旨 表面型早期大腸癌の特異性をみる目的で,K-ras遺伝子の異常を遺伝子産物の免疫染色とPCRを用いた点突然変異で検索し報告した.表面型大腸癌は腫瘍高を測定し,その高さでType ⅡAとⅡBに分け,それ以外の早期癌(Type Ⅰ)と分けて検討した.対象はいずれも分化型腺癌とした.結果は,免疫染色の反応陽性は腺腫で7/17(41%),typeⅠ 12/19(63%),Type ⅡA 4/10(40%),Type ⅡB 0/9,進行癌 5/11(45%)であり,K-ras codon 12における点突然変異率はそれぞれ,3/16(19%),7/16(44%),1/4(25%),0/8(0%),4/11(36%)であった.この結果から進行癌に至る経路にはras遺伝子の異常を伴わない発癌機序があることが類推された.また,Type ⅡB とした平坦陥凹型を呈する分化型腺癌例では全例,rasの異常を示した症例はなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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