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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻10号

1992年10月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の深達度診断mとsmの鑑別―内視鏡的治療のために 主題

新鮮胃切除標本からみた最大径2cm以下の早期胃癌の深達度診断

著者: 岩崎善毅1 前田義治1 迫間隆昭1 比島恒和1 鄭子文1 猪狩享1 深山正久1 船田信顕1 滝澤登一郎1 小池盛雄1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1129 - P.1138

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要旨 外科的に切除された最大径2cmまでの早期胃癌436病巣(m癌333病巣,sm癌103病巣)について新鮮切除標本の肉眼像からみた深達度診断を検討した.sm浸潤の程度を,顕微鏡的浸潤(sm1)と肉眼的浸潤に大別し,肉眼的浸潤を中等度浸潤(sm2)と大量浸潤(sm3)に分けた.病巣は隆起型,陥凹型,平坦型,およびそれらの複合型に分け,それぞれについて検討を加えた.隆起型では,sm浸潤が進むにしたがって表面の構造に乱れがみられ,sm3では隆起全体が特徴的な平皿状を呈した.陥凹型では,細顆粒の出現や陥凹面の凹凸不整,なだらかな盛り上がりなどがsm2~sm3によくみられた.潰瘍の合併した病巣で線維化の強い場合には,従来いわれている粘膜ひだの所見のみからでは深達度の推測は難しかった.しかし陥凹面の詳細な観察が困難な低分化型癌では,粘膜ひだの所見も合わせて総合的に判断することが必要であると思われた.また1cm以上の陥凹性病巣では集中する粘膜ひだの中心から離れてみられる表面の細顆粒状の変化が,sm浸潤を表現している可能性が考えられた.2cm以下のsm癌のリンパ節転移は8例18%にみられ,sm2が6例,sm3が2例でⅡc型7例,Ⅱa+Ⅱc型1例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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