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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻10号

1992年10月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の深達度診断mとsmの鑑別―内視鏡的治療のために 主題

小胃癌の深達度診断―X線診断について

著者: 中野浩1 加藤真二1 小川弘恒1 西井雅俊1 大橋秀徳1 保原怜子1 高浜和也1 渡辺真1 高野映子1 北川康雄1 宮地育郎1 伊藤圓1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科

ページ範囲:P.1139 - P.1148

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要旨 内視鏡的治療の対象となる早期胃癌,すなわち2cm以下で粘膜ひだ集中のない分化型のⅡcのX線的深達度診断について,症例を挙げ,そのX線所見を中心に検討した.症例は男性46例,女性15例,の計61例で,平均年齢は58.8歳,粘膜内癌(m癌)48例,粘膜下層まで浸潤した癌(sm癌)13例であった.陥凹と陥凹の辺縁隆起に注目し,X線所見を6群に分けて検討した.浅い不整形陥凹で陥凹底が細顆粒状の陥凹ではm癌が多く,不整形で陥凹底が平滑なものでは5例中2例はsm癌であった.深いはっきりした陥凹を示した例は14例あったが,そのうち11例はm癌であった.陥凹の辺縁隆起が花弁状のものは分化型癌の特徴的な1群で深達度はm癌であった.その他の辺縁隆起には顆粒状,結節状のものがあり,これらの所見を示した21例中7例がsm癌であった.これらの辺縁隆起は種々の構成成分からなり,必ずしもsm浸潤を示す所見とは言えなかった.深達度診断は病変の占拠部位,大きさ,潰瘍の合併の有無,組織型などを加味して行われる.この症例を絞る過程でもX線診断は大きな役割を果たしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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