今月の主題 胃癌の深達度診断mとsmの鑑別―内視鏡的治療のために
主題
内視鏡によるm・sm胃癌の鑑別
著者:
光永篤1
村田洋子1
長廻紘1
鈴木茂1
池田郁雄2
中村真一2
春木京子2
千葉素子2
横山聡2
橋本洋2
小幡裕2
鈴木博孝3
所属機関:
1東京女子医科大学消化器病センター消化器内視鏡科
2東京女子医科大学消化器病センター消化器内科
3東京女子医科大学消化器病センター消化器外科
ページ範囲:P.1151 - P.1166
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要旨 隆起型早期胃癌では,大きさは深達度診断の重要な要素で,2cm以下のⅡa型ではsm癌を認めず,Ⅰ型,Ⅱa型ともに2cmを越えるとsm癌の頻度が増すが,表層拡大型だけは大きさと深達度との間に関連を認めなかった.そのほか,sm浸潤を示唆する所見として,楔形の鋭い陥凹,著明な発赤,粗大な結節状隆起が見られた.陥凹型早期胃癌では,大きさと深達度との間にある程度の関連はあるものの,1cm以下のものにもsm癌を認め,これが陥凹型での深達度診断を難しくしている一因と考えられた.また,sm癌をm癌と誤診したものの多くは,sm浸潤がごく一部に限局していたもので,このような症例では,見直しによってもsm癌と診断するのは困難と考えられた.一方,m癌をsm癌と誤診したものでは,Ⅲ型の関与を多く認めた.Ⅱa+Ⅱc型早期胃癌では,隆起部分の粘膜性状を正確に診断することが,深達度診断にとって重要と考えられた.