icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻10号

1992年10月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の深達度診断mとsmの鑑別―内視鏡的治療のために 主題

超音波内視鏡による早期胃癌の鑑別―内視鏡治療を目的に

著者: 安田健治朗1 宇野耕治1 田中聖人1 道上学1 池田悦子1 平野誠一1 水野成人1 芦原亨1 早雲孝信1 水間美宏1 向井秀一1 趙栄済1 中島正継1

所属機関: 1京都第二赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.1167 - P.1174

文献購入ページに移動
要旨 早期胃癌の内視鏡治療を目的に,その適応条件の1要素である深達度診断について超音波内視鏡の診断能を検討した.術前にEUSを施行し切除標本との対比が可能であった胃癌500例について高エコー層の変化を基準に,m癌,sm癌,pm癌,ss以深の癌に分類すると正診率は78.6%であった.内視鏡治療の対象となるm癌174例の正診率は77.0%で,内視鏡形態別には潰瘍性変化を伴うⅡc癌,Borrmann 1型胃癌で低い正診率を示した.部位,組織型,間質,増殖形態別の正診率に大きな差を認めなかった.Ⅱc型sm癌をその浸潤の程度からsm 1,2,3に分類し,内視鏡治療の適応となりうるm+sm癌の正診率を検討すると86.5%となった.m癌のリンパ節転移率は今回の検討症例では2例(1.1%)で,潰瘍性変化を伴う低分化腺癌例であったが,EUSによる指摘はできなかった.EUSによる内視鏡治療の術前深達度診断は治療の適応を確認すると共に,内視鏡形態,組織型と合わせリンパ節転移の頻度を推定する手段として評価できるものであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?