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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻11号

1992年11月発行

文献概要

症例

全結腸にびまん性に潰瘍の多発をみたサルモネラ腸炎の1例

著者: 富永雅也1 廣田千治1 徳永剛1 加来数馬1 中野元1 岡田安浩1 加藤康男2 八尾隆史3 飯田三雄4

所属機関: 1福岡赤十字病院内科 2福岡赤十字病院病理 3九州大学医学部第2病理 4九州大学医学部第2内科

ページ範囲:P.1329 - P.1336

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要旨 患者は23歳,女性.39℃台の発熱,1日十数行の下痢,左上腹部痛を主訴として来院.注腸造影にてS状結腸口側~上行結腸のほぼ中央部までhaustraの消失と,びまん性に潰瘍の多発を認めた.検査成績では短期問に進行する貧血,低蛋白血症,電解質異常と高度の炎症所見を認めた.保存的療法に反応せず,腹部単純写真にて横行結腸~下行結腸に一致すると思われる鉛管状のガス像を認めた.その径は短期間に増大し,toxic dilatationを合併した潰瘍性大腸炎(UC)との鑑別に苦慮した.しかし,発症は急激であり,X線・内視鏡上,直腸の所見は軽微であることより,サルモネラ腸炎を含む感染性腸炎を疑い抗生物質を投与した.投与直前の便培養によりSalmonella typhimuriumが検出され,サルモネラ腸炎と確診した.本例は,大腸潰瘍の治癒に3か月以上を要しており,本邦報告中最も重症の症例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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