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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻3号

1992年03月発行

今月の主題 腸型Behçet病・simple ulcerの経過

主題

腸型Behçet病および単純性潰瘍の経過―X線像の推移を中心として

著者: 飯田三雄1 小林広幸1 松本主之1 興梠憲男1 岡田光男2 渕上忠彦3 新関寛4 八尾恒良5 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡大学医学部第1内科 3松山赤十字病院消化器科 4新関内科医院 5福岡大学筑紫病院内科

ページ範囲:P.287 - P.302

文献概要

要旨 腸型Behçet病15例(不全型12例,疑い3例)と単純性潰瘍4例の腸病変を平均6.2年間経過観察し,そのX線像の推移を検討した.その結果,以下の成績を得た.①非手術例12例中8例は回腸末端~回盲部の深い潰瘍から成る定型的病変を有したが,残りの4例は不整形ないし類円形の潰瘍あるいはアフタのみから成る非定型的病変を示した.②定型的病変8例は保存的治療に反応し,一時的に縮小あるいは瘢痕化するが,経過中に再燃を来し4例は手術に至っていた.③回腸末端に多発潰瘍を認めた非手術例4例では,各潰瘍の変化は多様であり,同一時期に増大,新生,縮小あるいは治癒した潰瘍が混在していた.④非定型的病変から成る4例も保存的治療によく反応し,経過中定型的病変への進展はみられなかった.⑤手術は10例に16回(術後例)施行され,再発は12術後例(75%)に発生した.⑥再発は吻合部に好発し,術後2年以内に起こっていた.⑦再発早期のX線像として,吻合部の浮腫像と吻合部回腸側のアフタが1例ずつ描出された.⑧再発病変に対しても保存的治療は有効であった.⑨臨床経過は,腸型Behçet病15例と単純性潰瘍4例の間で明らかな差異を認めなかった.以上の成績から,本症では非手術例,手術例にかかわらず消化器症状をほとんど伴わない時期から定期的に消化管検査を施行し,小潰瘍やアフタの段階で発見し早期に治療を開始することが最も重要であると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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