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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻4号

1992年04月発行

今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変

序説

大腸腫瘍の形態の多様性について

著者: 長廻紘1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.387 - P.388

文献概要

 大腸腫瘍が少なく,1例1例それこそ撫でまわすように検査していたころ,あるいはポリペクトミーが普及しはじめたころなどには,大腸腫瘍の診断能はコロノスコープの挿入技術とパラレルだ,などと浅はかにも思ったりしたものである.ところが大腸疾患が増加してくると共に,大腸腫瘍は形態においても単調(隆起型のみ)ではなく,多様であることがだんだんわかってきた.これは全く皮肉なことであって,筆者の施設では現在(91.10.26)コロノスコピーの予約は翌年になってしまっている.検査をスピードアップしたいのに,個々の症例に費やす時間はむしろ延長せざるをえないのである.表面型腫瘍の存在が無言の圧力となっている.

 表面型腫瘍に対する最初の驚きが去り,その診断が日常化するにつれて,新たな問題点が種々浮かび上がってきた.まず膨大な数にのぼる表面型腺腫の存在である.表面型腫瘍の組織診断は施設によって極端に差がある.コロノスコピーの症例の7~8%が平坦・陥凹型早期癌であったなどという発表(1991年内視鏡学会,横浜)が出てくる始末である.表面型病変を癌に甘く診断する病理医が多いか,少なくともそのことが臨床側に喜ばれる傾向は,否定し難い.次に表面型,特に陥凹型腺腫がどういう自然史をとるかということである.一部は発育停止,一部は隆起型に徐々に変形していくのであろう.これは,癌化するにしても一部にすぎないだろうことは,表面型腫瘍の発見率からは,考えられないほど進行癌が少ないことから容易に想像しうるところである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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