今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変
主題
結節集簇様大腸病変の臨床的取り扱い―内視鏡治療の適応と限界
著者:
多田正大1
望月福治2
小越和栄3
丸山雅一4
松川正明5
武藤徹一郎6
小平進7
白壁彦夫8
西元寺克禮9
伊藤誠10
大柴三郎11
所属機関:
1京都第一赤十字病院第2内科
2仙台市医療センター
3県立がんセンター新潟病院
4癌研究会附属病院内科
5順天堂大学医学部消化器内科
6東京大学医学部第1外科
7慶応義塾大学医学部外科
8早期胃癌検診協会
9北里大学東病院内科
10名古屋市立大学医学部第1内科
11大阪医科大学第2内科
ページ範囲:P.421 - P.427
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要旨 大腸の結節集籏様病変の治療の現況,特に内視鏡治療の実態について,多施設で経験した152例に対する治療成績を集計して検討した.内視鏡治療群は61例(40.1%),外科切除群は91例(59.9%)であり,内視鏡治療群の病変の平均最大径は22.48±11.30mmであり,外科治療群よりも小さい傾向がみられた.内視鏡治療群についてその手技の内容をみると,大きい病変に対して各種手技を併用したりpiecemeal polypectomyが用いられることが多く,小さい病変に対してstrip biopsyが用いられることが多かった.経過観察をなしえた42例中6例(14.3%)に再発がみられた.結節集簇様病変に対する内視鏡治療の適応として,癌の浸潤範囲がsm1までにとどまっていることが確実な症例に限ると考えられ,術前の正確な性状診断と深達度診断が要求された.内視鏡医の技術の巧拙によっても適応は左右されるが,病変が扁平であり,広基性,大きいことが多いため,いずれの内視鏡手技を用いるにせよ,熟練者が慎重に対処しなければならないことを強調した.