文献詳細
今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変
主題
文献概要
本号に結節集簇様病変が主題として取り上げられたことには特別の感慨がある.というのは,筆者が本誌4巻3号(1969年)に「S状結腸早期癌の1例」として発表した症例報告(Fig. 1)は,胃の早期癌に準じた大腸の早期癌としては本邦最初のものであったからである.この病変は,最大径33mm,肉眼的には胃のⅡa型に類似していたことから,筆者はこの種の病変も将来は大腸早期癌の1つの型として注目されるようになるであろうと密かな期待をもっていた.
この症例を早期胃癌研究会に出す段になって,筆者は,当時は癌研の病理におられた中村恭一教授に,“最も癌らしい局面”を強拡大で撮影してもらったスライドを恐る恐る提出したことを覚えている.結果は,村上忠重教授の“僕は癌としてもよいと思う”の一言で決まった.あれから20年以上も経過し,筆者は病理の大家主義を批判して憚らない傲慢さを身につけてしまったが,当時は権威者の御墨付をもらったことに欣喜雀躍していたのも同じ人格である.
この症例を早期胃癌研究会に出す段になって,筆者は,当時は癌研の病理におられた中村恭一教授に,“最も癌らしい局面”を強拡大で撮影してもらったスライドを恐る恐る提出したことを覚えている.結果は,村上忠重教授の“僕は癌としてもよいと思う”の一言で決まった.あれから20年以上も経過し,筆者は病理の大家主義を批判して憚らない傲慢さを身につけてしまったが,当時は権威者の御墨付をもらったことに欣喜雀躍していたのも同じ人格である.
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