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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻4号

1992年04月発行

文献概要

今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変 主題

結節集簇様大腸病変―私の意見

著者: 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.434 - P.434

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 大腸のいわゆる“結節集簇様病変”に対する私のイメージは,極めて扁平で表層拡大型に発育した隆起表面が顆粒状または結節状の,かなり大きな隆起性病変である.このような形態をとる病変はまれで,その本体はいま一つ不明確である.

 1.病変の呼称および定義

 私のイメージとほぼ同一形態であろうと思われる本邦報告例を見ても,花壇様隆起1),creeping tumor2),広基性小結節集簇型の低い隆起性病変3),顆粒集簇を主体とした隆起性病変4),顆粒集簇型扁平隆起5),Ⅱa集簇様病変6),巨大平盤状隆起型早期癌7)などと種々呼称されている.報告によっては1cm未満の小さな病変も含まれており,それら病変がすべて本当に水平方向に扁平に発育する病変の初期像なのか疑問が残る.また,どの程度悪性化するのか,高さは,また大きさはどの程度からこの範疇に含めるのか,など,統一された見解がない.また,報告例の組織型も種々で,大腸癌取扱い規約の腺腫の分類のすべて(tubular,tubulo-villous,villous adenoma)が含まれており,すべてが癌のみよりなる病変の報告例もある.とすれば,結節集簇様病変は単に形態を表現するだけで診断名にはなりえない.また,同じ組織型でありながら,なぜ主として垂直方向に発育する病変と水平方向に発育する病変があるのか,その成り立ちは不明である.これらの疑問点には経過観察するしか解答は得られないように思う.経過に関しては石川らの報告4)があるが,このような発育形態をとる病変の初期像が明瞭になれば,1つの疾患単位として取り扱ってよいと思われる.いずれにしても,これら疑問点を解明するには何らかの共通した土台,定義を決めて検討する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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