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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻4号

1992年04月発行

今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変

主題

結節集簇様大腸病変の治療―私の意見

著者: 中泉治雄1 磨伊正義2

所属機関: 1公立能登総合病院外科 2金沢大学がん研究所外科

ページ範囲:P.436 - P.437

文献概要

 下部直腸に好発する結節集簇様病変は,無数の結節が集簇する平低な隆起性病変で,その境界が不明瞭なことが多い.組織学的には,病変の大部分は腺管腺腫,一部絨毛状腺腫であり,この病変の増殖・発育は側方進展が主体であると言われる1).したがって切除の際,病変の一部を取り残すと局所再発を来すことになる.そこで本症の治療としてわれわれは経肛門的直腸粘膜の筒状切除を2例に行った(Fig. 1).本法は粘膜層の病変に対して,粘膜下層で直腸粘膜を全周にわたり筒状に剝離することにより病変の確実な切除が可能となった.また,排便習慣は5か月後には1日数行の通常便排出に回復し,直腸粘膜のみの剝離と口側粘膜肛門吻合は,肛門直腸機能に対する影響が少ないものと考えられた.以下に症例を示す.

 〔患者〕64歳,女性.約1年3か月にわたる便秘のあと肛門腫瘤が出現するようになった.1985年4月5日シグモイドスコープにてtubulo-villous adenomaと診断した.直腸内視鏡所見では大小不同の著しい隆起と,隆起のあまり目立たない,粘膜下血管像の見えない発赤部位が存在した.わずかな隆起の辺縁を確定するには色素撒布が有用であった(Fig. 2).注腸透視所見では直腸膨大部から肛門側にかけ,前壁を主体に大小不同の泡沫状のいわゆるsoap bubble所見を呈していた(Fig. 3).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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