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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻4号

1992年04月発行

文献概要

今月の主題 大腸のいわゆる結節集簇様病変 主題

結節集簇様大腸病変―私の意見

著者: 五十嵐正広1

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科

ページ範囲:P.438 - P.438

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 結節集簇様病変とは,語彙の印象からは結節が集簇したⅡa集簇型のような病変としてイメージされるが,いまだ定義がないので,どのような病変を指すものか明らかではないのが現状と思われる.また結節集簇様大腸病変を独立した1つの疾患として扱うか否かも今後の問題点の1つと言える.これらの結節状病変は,これまでの肉眼形態を表す言葉の中で,山田分類のⅡ型,広基性病変,扁平腫瘍,絨毛状腫瘍などとも呼ばれていると思われる.特に扁平腫瘍の中ではポリープ様集簇型1)と分類されたり,結節が集簇している特異な形態から,絨毛腫瘍の中で扱われているものも多いと思われる.絨毛腫瘍の定義は肉眼的な特徴によるものや,組織学的な特徴によるもの,肉眼形態と組織の両方の特徴によるものなど様々であり,まだ確立された見解がなく,これらの結節集簇様病変を含むか否かの議論も必要と思われる.

 われわれの絨毛腫瘍の定義としては,腫瘍表面に絨毛状の発育形態を呈し組織学的にも絨毛腺腫成分を有するもの,としており,これまで20病変を経験している2).しかし,そのうちの3例は,絨毛腫瘍の成分も見られるが,主体は結節集簇様病変に分類すべきと考えられた.すなわち結節集簇様病変は,絨毛腫瘍の肉眼所見に比べ顆粒が大きく,いわゆる結節状であり,絨毛腫瘍に見られるような細顆粒状の肉眼形態を呈するものとは異なっている.また組織学的にも細顆粒状を呈する病変の組織像は絨毛状腺腫を主とする病変であり,結節集簇様病変では腺管腺腫ないし腺管絨毛腺腫を主体とする病変である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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