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文献概要
今月の主題 linitis plastica型胃癌診断の現状 序説
linitis plastica型胃癌はなくなる
著者: 中村恭一1
所属機関: 1東京医科歯科大学第1病理
ページ範囲:P.505 - P.506
文献購入ページに移動 早期胃癌診断の進歩は目覚ましく,1~3年に1回の胃X線・内視鏡検査を行うことによって胃癌による死から免れる,それは現在の胃癌診断学をもってするならば確実なことでしょう.しかしそうは言っても,毎年胃癌の検診を行っていて無症状,健康であった人が,ある年突然にlinitis plastica状態で発見されて1,2年後に鬼籍に入る場合が現実に存在しています.そのようなlinitis plastica型胃癌の頻度は?といいますと,少し古いデータになりますが,胃上半分の部分における未分化型癌の中の8%,そして胃底腺粘膜から発生した未分化型癌であることが組織学的に証明された癌の中では17%です(癌研外科,1955~1974).これらの値は,胃底腺粘膜から発生した未分化型癌に占めるlinitis plastica型癌の頻度の下限であろうと思われます.なぜならば,術前にleather bottleあるいはスキルスと診断されると,外科的切除のなされないlinitis plastica患者が少なからず存在していたということがあり,現在でもそのような症例が存在しています.このようなことからは,linitis plastlcaは胃癌の中でまれな症例であると見過ごすわけにはいきません.
どうしてもlinitis plastica型癌の早期診断,つまりlinitis plastica型胃癌の状態になる前に診断する必要があります.このことは,一般社会からの強い要請でもありましょう.なぜかlinitis plastica型胃癌は,働き盛りの若年者・中年者そして女性に多い傾向があるからです.彼らはまた,日本の次世代を担う子供の養育になくてはならぬ存在であり,彼らがlinitis plasticaで倒れたことによって生じる家庭の悲劇をここそこで耳にするのもまれではありません.
どうしてもlinitis plastica型癌の早期診断,つまりlinitis plastica型胃癌の状態になる前に診断する必要があります.このことは,一般社会からの強い要請でもありましょう.なぜかlinitis plastica型胃癌は,働き盛りの若年者・中年者そして女性に多い傾向があるからです.彼らはまた,日本の次世代を担う子供の養育になくてはならぬ存在であり,彼らがlinitis plasticaで倒れたことによって生じる家庭の悲劇をここそこで耳にするのもまれではありません.
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