今月の主題 linitis plastica型胃癌診断の現状
主題 Ⅰ.linitis plastica型胃癌診断の現状―胃底腺領域との対比において
病院受診群からみたlinitis plastica型胃癌診断の現状―特に潜在的なlinitis plastica型胃癌について
著者:
浜田勉1
岩崎良三1
高木由紀1
近藤健司1
三輪洋人1
大蔵隆一1
梁承郁1
寺井毅1
渡辺晴生1
佐藤信紘1
白壁彦夫2
所属機関:
1順天堂大学医学部消化器内科
2早期胃がん検診協会
ページ範囲:P.525 - P.537
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要旨 linitis plastica(以下,LP)型胃癌の診断の現状について病院の立場から,20年間に経験した胃癌2,235例を対象とし,その推移を調べた.その結果,近年,早期癌が50%を越え,手術可能進行癌と手術不能癌が減少していた.また,早期癌に占める胃体部領域におけるUl(-)の未分化型Ⅱcは1.9%から5.6%へと増加していた.一方,進行癌は減少が著しく,切除例でLP型胃癌は減少傾向にあるが,手術不能例ではBorrmann 4型(LP型胃癌を含む)に増加傾向がみられ,LP型胃癌は減少傾向があるとは言えなかった.潜在的なLP型胃癌は12例あり,その頻度は切除されたLP型胃癌の15.8%で,男女比は5:7,平均年齢43.8±8.2歳であった.術前診断は,ⅡcやⅡc+Ⅲ型早期癌6例,Ⅱc進行癌3例,潜在的なLP型胃癌3例で,正診率は25%で,壁の伸展が良好なため粘膜病巣周囲への癌の拡がりを診断できなかった.5年生存は12例中5例(41.7%)で,n(-)群に多い傾向があったが,5年生存例の肉眼所見では原発巣周囲に形態的な特徴を認めなかった.