今月の主題 linitis plastica型胃癌診断の現状
主題 Ⅱ.linitis plastica型胃癌早期診断へのアプローチ
linitis plastica型胃癌早期診断へのアプローチ―臨床の立場から
著者:
西澤護1
細井董三1
岡田利邦1
志賀俊明1
大倉康男1
新山徹美1
斉藤雄介1
磯村政保1
牧野哲也1
野本一夫2
上野正己3
所属機関:
1東京都がん検診センター
2東京都多摩がん検診センター
3商工中金健康管理センター
ページ範囲:P.579 - P.589
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要旨 linitis plastica型胃癌(以下,LP)の早期診断は,その原発巣を探し出すことにあるが,発育経過中に原発巣に潰瘍ができ,ときに瘢痕化し,また周囲粘膜を這ってびらんを形成する.それゆえLPの早い時期のうちに発見しうる可能性も多い.胃底腺領域(以下,F領域)の小さなⅡcあるいはⅡbをすべて発見し刈り取ることができれば,F領域に発生した胃癌はほとんどm癌のうちに発見されることになり,LPはなくなるはずである.その発見はかなり難しいが,発見の糸口をつかむことができた.固定集団の長期逐年検診からみると,Borrmann4型,LPとも著しく減少している.早期癌発見の割合が増加し,それにつれて未分化型早期癌,F領域早期癌発見の割合が増加したためと思われるが,なお早期発見の難しいと思われるものが発見癌120例中3例(2.5%)あり,特殊なLP,Borrmann 4型,Borrmann 3型であった.