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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻5号

1992年05月発行

文献概要

症例

遺伝性素因の関与が示唆された潰瘍性大腸炎 合併多発性早期大腸癌の1例

著者: 小林広幸1 飯田三雄1 大隈まり1 興梠憲男1 富永雅也2 八尾隆史3 壬生隆一4 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2福岡赤十字病院内科 3九州大学医学部第2病理 4九州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.601 - P.606

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要旨 症例は42歳,女性,全大腸炎型の潰瘍性大腸炎患者で,発症11年目にS状結腸と直腸に4つの扁平な隆起性病変を認め,生検にてdysplasiaないし腺癌の組織像が得られたため,大腸亜全摘術を施行.切除大腸の全割標本では隆起性病変に一致して計4個の早期癌(高分化腺癌;m癌2個,sm癌2個)とその周囲にdysplasiaを認めた.一方,本例は多臓器腺癌(胃癌,乳癌)の既往と消化管腺癌の家族内集積(母親;直腸癌,弟;胃癌)を認め,いわゆる遺伝性非ポリポーシス大腸癌の家系であった.本例は潰瘍性大腸炎合併早期大腸癌としては典型例と考えられたが,大腸癌の若年発生,多発性の要因として遺伝性素因の関与も示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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