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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻5号

1992年05月発行

文献概要

症例

塩酸ヒドララジンにより引き起こされたと思われる十二指腸のいわゆるメラノーシスの1例

著者: 中牟田浩治1 小田英俊1 大曲勝久1 伊津野稔1 村田育夫1 牧山和也1 原耕平1 竹島史直2 松尾武2 昇清二3 谷岡一3 原口増穂3 浅井貞宏3

所属機関: 1長崎大学医学部第2内科 2長崎大学医学部第1病理 3佐世保市立総合病院内科

ページ範囲:P.607 - P.610

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要旨 患者は68歳,女性.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部から下行脚にかけて黒褐色点状色素沈着を認め,組織学的検査などにより十二指腸メラノーシスの診断を得た.原因薬剤と考えられた塩酸ヒドララジンを中止し,約6か月後に色素沈着の著しい改善をみた.薬剤中止前後の光顕では,暗褐色から淡褐色へと色素は淡くなっていたが,電顕では変化を認めなかった.本症の成因として降圧剤や鉄剤との関連が強く推測されているが,われわれが検索した限りでは,経時的観察により也素沈着の改善をみた例は村田ら1)やSharpら2)など数例にすぎず,原因薬剤を同定できた例は,Wabaら3)の1例のみであり,自験例は塩酸ヒドララジンが成因であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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