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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻6号

1992年06月発行

文献概要

症例

胃過形成性ポリープより発生した低分化腺癌の1例

著者: 市吉裕二1 朔元則1 前川宗一郎1 池尻公二1 村中光2 岩下明徳3

所属機関: 1国立福岡中央病院外科 2国立福岡中央病院放射線科 3福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.695 - P.699

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要旨 患者は65歳,女性.主訴は貧血.胃X線および内視鏡検査にて胃体中部前壁に2.5×4.0cm大の,胃体下部後壁に2.0×3.0cm大の山田Ⅳ型のポリープを認めた.ポリープ頭部の生検では両者とも過形成性上皮が得られたが,前者のポリープの茎部に認められたⅡc様陥凹面からsignet-ring cellを伴う低分化腺癌が得られたため,胃全摘術を施行した.組織学的に前者のポリープの頭部では腺窩上皮がかなりの部分で高分化腺癌に置き換わると共に,粘膜固有層内には同様の核を有する腺管を形成しない癌細胞の増生を認め,更に茎部は大部分が低分化腺癌から構成されていた.本例は過形成性ポリープから低分化腺癌が発生した極めてまれな症例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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