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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻6号

1992年06月発行

症例

胃迷入膵より発生した腺癌の1例

著者: 中根恭司1 浅井晃1 朴常秀1 日置紘士郎1 坂井田紀子2 岡村明治2 奥平勝3 播磨敬三4 村田貴史4

所属機関: 1関西医科大学第2外科 2関西医科大学中検病理 3関西医科大学第3内科 4関西医科大学放射線科

ページ範囲:P.719 - P.726

文献概要

要旨 患者は62歳,男性.嘔気,嘔吐を主訴に入院.胃X線検査,胃内視鏡検査により,胃幽門部の多房性の粘膜下腫瘍様病変による幽門狭窄を認めた.超音波内視鏡,ダイナミックCTでは幽門前庭部の多房性の囊胞と幽門部の充実性腫瘍部分を認めた.腹部血管造影では幽門枝の狭細像を認めたが特記すべき所見はなかった.粘膜下腫瘍,特に迷入膵およびリンパ管腫などの診断で1991年4月9日幽門側胃切除術を施行した.なお術前の腫瘍マーカーはDUPAN-2が220U/mlと高値であった.切除胃の肉眼所見は,胃前庭部のほぼ全周を占める多房性の粘膜下腫瘍であり,長径1.0cmから3.5cmの囊胞を計5個認めた.また幽門輪の固有筋層は著明に肥厚していた.組織学的には粘膜下層から漿膜下層にかけて囊胞状に拡張した異型腺管から成る分化型腺癌の像と,粘膜下から筋層の間質にHeinrich Ⅱ型の迷入膵が認められ,両者の移行が確認された.胃迷入膵の癌化例は極めてまれであり,組織学的に癌化を証明された症例は現在までに15例にすぎない.以上,臨床病理学的に胃迷入膵とその癌化を証明しえた症例を経験したので報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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