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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻7号

1992年07月発行

文献概要

今月の主題 出血を来した小腸病変の画像診断 主題研究

転移性小腸腫瘍のX線診断

著者: 牛尾恭輔1 石川勉1 宮川国久1 山田達哉1 呉屋朝幸2 北条慶一2 落合淳志3 板橋正幸3

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター外科 3国立がんセンター病理

ページ範囲:P.793 - P.804

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要旨 過去28年間に国立がんセンター病院で外科的に切除された転移性の小腸腫瘍129例について検討した.その90.7%は原発巣が腹部の臓器由来で,9.3%は腹部以外の悪性腫瘍からの転移であった.転移性の小腸腫瘍のX線像には,胃,小腸,結腸の問に共通性がみられた.すなわち腹部臓器由来の悪性腫瘍,特に腺癌が小腸壁に浸潤・転移した場合は,病変の主体は漿膜側にあって,X線像では,腸管の長軸方向に幅が数mm大の粘膜ひだの収束像が特徴的な所見であった.次に,腹部の臓器以外の悪性腫瘍が,小腸壁に脈管性に転移し切除された例は12例で,そのうちの10例は肺癌からの転移であった.そこで,今まであまり知られていない肺癌からの転移性小腸腫瘍を主体に,その臨床的事項,切除標本の肉眼像,X線像における特徴像について検討した.その結果,肺癌からの転移性小腸腫瘍の特徴として,①男性に多い,②多発傾向がある,③空腸に多い,④大細胞癌が多い,⑤イレウス,穿孔,出血が主な症状である,⑥発育形式と時期によって,腫瘤型,扁平隆起型,隆起陥凹型,陥凹型,を示す,⑦悪性リンパ腫,小腸癌,平滑筋肉腫,カルチノイドとの鑑別診断が必要となることを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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