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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻7号

1992年07月発行

文献概要

今月の主題 出血を来した小腸病変の画像診断 主題症例

大量下血で発見された多発性小腸平滑筋腫を合併したvon Recklinghausen病の1例

著者: 早坂隆1 渡辺豊1 石坂富美雄1 保浦眞一1 菅原俊1 佐々木春喜1 川村詔導1 広瀬定徳2 鈴木政彦2 藤井正三1 伊藤哲夫3

所属機関: 1函館中央病院内科 2函館中央病院外科 3北海道病理組織センター

ページ範囲:P.827 - P.832

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要旨 von Recklinghausen病に罹患した50歳,女性.大量下血で緊急入院,上部消化管は異常なく大腸内視鏡検査では回腸末端まで血液が充満していた.CTスキャンでは空腸に25mmのsolid massが同定された.手術所見ではTreitz靱帯から50cmの空腸に,固有筋層から発生した20mmの腫瘍が管外性に発育しており,ほかにも十数個の腫瘍がみられた.組織学的には多発性の平滑筋腫であった.腫瘍粘膜のびらん面から出血していた.小腸腫瘍の診断にはCTスキャンが有用であったが,von Recklinghausen病の患者には便潜血のスクリーニングを行い,必要なら小腸の精査をも行うべきである.von Recklinghausen病はneurocristopathyまたはhamartomaが本態と考えられているが,mesoderm由来の平滑筋細胞の多発性腫瘍が合併してみられたことは,von Recklinghausen病の病因は単一ではなくheterogeneityがあることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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