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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻8号

1992年08月発行

今月の主題 表面型大腸腫瘍の臨床診断の諸問題

主題

平坦・陥凹型大腸上皮性腫瘍のX線診断―内視鏡像および肉眼型との対比

著者: 平川雅彦1 渕上忠彦1 臺丸裕2 松坂俊光3 岩下明徳4

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2松山赤十字病院病理 3松山赤十字病院外科 4福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.879 - P.888

文献概要

要旨 平坦ないし陥凹を有する表面型大腸上皮性腫瘍43病変を対象とし肉眼型分類の問題点およびX線診断について検討した.肉眼型は割面ルーペ像にてⅡb型:腫瘍部が辺縁非腫瘍部と比べて平坦なもの(10病変),Ⅱc型;腫瘍部が辺縁非腫瘍部と比べて陥凹しているもの(7病変),Ⅱc+Ⅱa型:非腫瘍よりなる周辺隆起を伴い腫瘍部が正常粘膜と比べて平坦ないし陥凹しているもの(10病変),Ⅱa+Ⅱc’型:非腫瘍よりなる周辺隆起に比し中心腫瘍部は陥凹しているが正常粘膜と比べて高くなっているもの(4病変),Ⅱa+Ⅱc型:中央に陥凹を有し周囲に腫瘍よりなる隆起を伴うもの(12病変),に分類した.割面ルーペ像と内視鏡所見の対比により,Ⅱa+Ⅱc型を除く他の肉眼型では腸管内の空気量の変化や切除標本の伸展程度にて肉眼形態は変化し,肉眼分類に関しては一定した伸展状態で論じる必要があると思われた.肉眼型別X線描出率はⅡb型30%,Ⅱc型71%,Ⅱc+Ⅱa型90%,Ⅱa+Ⅱc’型50%,Ⅱa+Ⅱc型100%であった.描出された病変のX線像は肉眼型や大きさに関係なく透亮像を伴う不整形バリウム斑であった.また病変周囲のnetwork pattemが描出されたものでX線描出率が良好であった.平坦・陥凹型大腸上皮性腫瘍のX線描出には腸管を過伸展させずに周辺隆起を残存させることと,大腸の微細模様であるnetwork patternの描出されたX線写真の撮影を心掛けることが必要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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