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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻8号

1992年08月発行

文献概要

今月の主題 表面型大腸腫瘍の臨床診断の諸問題 主題

微小表面型大腸腫瘍のX線診断―その基礎と診断の解析

著者: 渡二郎1 白壁彦夫1 池延東男1 梁承茂1 前納健二1 新原享1 佐々木伸一1 富田秀人1 天野穂高1 加藤直人1 高木直行1 早川尚男1 池上雅博2 下田忠和2

所属機関: 1(財)早期胃がん検診協会 2東京慈恵会医科大学病理

ページ範囲:P.889 - P.901

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要旨 5mm以下の表面型大腸腫瘍119例128病変(表面隆起型78病変,表面平坦型3病変,陥凹をみる型47病変)のうち陥凹をみる型を主な対象とし,X線の立場で拾い上げ診断の現状と撮影手技を検討した.また,得られた病理割面像の解析から臨床像(X線像・内視鏡像)の分析も同時に行った.ルーチンX線検査を施行した陥凹をみる型46病変のうち13病変(28.3%)を拾い上げ,後のX線像の見直しで発見した病変を含めると計22病変(47.8%)を描出した.また,腹臥位撮影がなくしては診断できなかったものが8病変(25.0%)あった.中心陥凹の描出には"網の目像"の描出は必須条件ではなかった.病理割面像を解析すると,内視鏡的粘膜切除術で得られた材料は非生理的に過伸展された状態であった.この条件下で,臨床像との評価に耐えうる病理割面像は表面型腫瘍全体の60.9%で,更にこの中でも臨床像との一致をみたものは61.5%(表面隆起型61.5%,表面平坦型50.0%,陥凹をみる型64.9%)であった.陥凹をみる型のうち,いわゆる相対的陥凹の病変がその多くを占め,胃のⅡcとは形態的に異なった.また,臨床像(X線像・内視鏡像)から腫瘍の拡がりを確実に認識することは未だ内視鏡的検査でも難しい.X線検査は総合的な診断では内視鏡検査に劣るが,拾い上げ診断には寄与するところが大きい.X線診断の領域は,経過を追求できる像を残すことと,その客観性のある像の解析にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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