今月の主題 表面型大腸腫瘍の臨床診断の諸問題
主題
内視鏡所見と実体顕微鏡所見からみた陥凹型早期大腸癌の診断
著者:
豊永純1
有馬信之1
鶴田修1
藤崎一浩1
入江章1
池田英雄1
佐々木英1
谷川久一1
池園洋2
井手耕一3
長田英輔4
笹栗靖之5
入江康司5
森松稔5
所属機関:
1久留米大学医学部第2内科
2池園内科胃腸科医院
3聖マリア病院内科
4長田病院
5久留米大学医学部第2病理
ページ範囲:P.911 - P.923
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要旨 陥凹型早期大腸癌の特徴を明らかにする目的で表面陥凹型早期癌44病変(m癌33病変,sm癌11病変)を対象とし,その内視鏡像,実体顕微鏡および病理組織学的所見について検討した.陥凹型は5mm以下よりsm癌が存在し,他形態の早期癌と比較した場合sm癌の占める割合とその深部浸潤度が極めて高く,臨床的には小サイズ(10mm以下)での発見が必要であった.陥凹底部の凹凸不整や陥凹部における不整・無構造なpitの存在はsm massive癌を強く示唆する所見であり,陥凹表面の観察はsm浸潤度診断に有用と思われた.内視鏡的に褪色調を呈する腫瘍の多く(80.0%)は非腫瘍部にmelanosisを有していた.大腸進行癌への発育・進展上,絶対および相対陥凹型はいずれの形態も重要な初期病変と考えられる.