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文献詳細

雑誌文献

胃と腸27巻8号

1992年08月発行

文献概要

今月の主題 表面型大腸腫瘍の臨床診断の諸問題 主題研究

大腸の腺腫および早期癌の実体顕微鏡所見―肉眼形態・病理所見との対比

著者: 多田修治1 飯田三雄1 八尾隆史2 松本主之1 桑野恭行1 興梠憲男1 富永雅也1 広田千治1 黒木文敏1 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.949 - P.961

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要旨 実体顕微鏡を用いて473個の大腸腺腫と144個の大腸早期癌の表面微細構造および辺縁像を観察し,肉眼形態および病理所見との対比を行った.腫瘍の表面微細構造は1:管状型(338病変),Ⅱ:脳回状型(136),Ⅲ:絨毛型(16),Ⅳ:微細密集型(85),Ⅴ:荒廃型(42)の5型に分類できた.Ⅰ~Ⅲ型の表面構造を示す病変では,隆起型の良性腺腫(腺管腺腫,腺管絨毛腺腫,絨毛腺腫)が優勢で,表面構造の変化は組織型の違いをよく反映していた.一方,Ⅳ型は表面型腫瘍の頻度が高く,特に表面型の粘膜内癌が多くを占めた.Ⅴ型ではsm癌の頻度が極めて高かった.更に,腫瘍の辺縁像を検討した結果,腫瘍と非腫瘍部の境界が明瞭で外に凸の輪郭を示す群と,境界が不明瞭で波状の不整像を示し,正常粘膜側に過形成pitを認める群に大別され,前者で隆起型腺腫と腺腫内癌の頻度が高く,後者では表面型の腺腫と粘膜内癌およびsm癌の頻度が高かった.特に,後者の所見が明瞭になるほどsm浸潤が高度となる傾向がみられた.以上の成績より,解像力の高い診断機器を用いて表面微細構造と辺縁像を観察することによって,腫瘍の組織像と深達度を切除前に推定できる可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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