主題 Ⅰ.逆流性食道炎の重症度分類
逆流性食道炎の重症度分類への一提言―内視鏡的形態から
著者:
神津照雄
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山田英夫
,
宮崎信一
,
吉村清司
,
菱川悦男
,
有馬美和子
,
原田昇
,
一瀬雅典
,
二宮栄一郎
,
磯野可一
ページ範囲:P.1003 - P.1008
要旨 1973年,食道疾患研究会から「Endoscopic Classification of the Reflux Esophagitis」が発刊された.本分類ではdiscoloring type,erosive and/or ulcerative type, uneven typeの3タイプに分類されている.その後,食道内視鏡検査が普及するにつれ,逆流性食道炎の病変の主体であるerosionやulcerationを詳細に識別する必要性が出てきた.その背景には食道内視鏡検査の増加からくる新しい知見の出現や,治療法の選択基準,治療効果の判定の必要性がある.そして逆流性食道炎を長期的にみた場合Barrett食道の出現がある.このような観点から,筆者らは以下の重症度分類を提言する.Grade Ⅰ:ヨード染色で初めて認識できる線条の不染帯,Grade Ⅱ:色調変化(白色混濁,発赤)・隆起・肥厚,Grade Ⅲ:線条びらん,Grade Ⅳ:樹枝状・地図状びらん,Grade Ⅴ:粘膜移行部の明らかな潰瘍・狭窄,Grade Ⅵ:Barrett食道(全周性・局所性).そして,炎症の長さが5cm未満をa,5cm以上をbと付記する.したがって,樹枝状びらんが7cmの長さにわたって存在するような症例はGrade Ⅳbと表現する.これからも増加してくるであろう本疾患を論じるとき,統一の基盤,基準が必要であり,筆者らの考えから逆流性食道炎の重症度分類として1つの案を提示した.