icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻1号

1993年01月発行

文献概要

今月の主題 胃癌は変わったか―その時代的変遷 主題

一施設における胃癌の時代的変遷

著者: 早川和雄1 福地創太郎1 橋本光代1 吉田行哉1 星原芳雄1 惣名司2 秋山洋2 鶴丸昌彦3 七海暁男4 海上雅光5

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2虎の門病院内視鏡室 3虎の門病院消化器外科 4虎の門病院放射線診断学科 5虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.39 - P.50

文献購入ページに移動
要旨 胃生検が導入された1964年から1991年までに,当院にて内視鏡検査を行い,外科的に切除し,病理学的検索が終了した早期胃癌1,270例;1,407病変,進行胃癌1,661例;1,667病変に,内視鏡的粘膜切除術を施行した早期胃癌76例;79病変を加えて,胃癌の年代的変遷について検討した.臨床的に診断され外科的あるいは内視鏡的に切除される早期胃癌,進行胃癌は年々増加しているが,早期胃癌の占める比率が増加し,最近では全胃癌の六十数%を占めた.早期胃癌の年齢別頻度では,若年者が減少し,高齢者が増加していた.肉眼型別にみると,早期胃癌ではⅡa型,Ⅱc型,Ⅱb型が増加し,Ⅲを伴う病変が減少しており,進行胃癌ではBorrmann4型が増加傾向にあった.大きさをみると,最近10年間で,10mm以下の早期胃癌の臨床診断例が著明に増加していた.多発胃癌の臨床診断例も増加しており,臨床的に診断された多発早期胃癌は8.2%を占めた.占居部位では,早期胃癌の隆起型でC領域が増加し,A領域が減少していた.組織型では,早期胃癌では年次的変動を認めないが,進行癌では,最近10年間は未分化型が分化型を上まわっていた.内視鏡的胃粘膜切除術の完全切除率は50.9%で,満足すべき成績でなく,今後,技術的改善が求められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?