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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻10号

1993年09月発行

今月の主題 胃悪性リンパ腫―診断の変遷

主題

胃悪性リンパ腫診断の変遷―臨床の対応―画像診断の面から

著者: 中野浩1 八木伸郎1 野村知抄1 加藤真二1 小野川高広1 西井雅俊1 大橋秀徳1 保原怜子1 高野映子1 高浜和也1 北川康雄1 伊藤圓1 黒田誠2 林香予子2

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科 2藤田保健衛生大学病理

ページ範囲:P.1027 - P.1037

文献概要

要旨 切除胃の肉眼所見で顆粒状粘膜所見を呈し,病巣が粘膜,粘膜下層に拡がる表層型に分類される胃悪性リンパ腫4症例のX線・内視鏡所見を検討した.X線所見は大小不揃いの顆粒状粘膜所見で,その中に不整小陥凹が認められた.そして,顆粒状粘膜を呈する部分に軽度の伸展不良が見られた.そして,内視鏡所見では,柔らかい感じのする凹凸不整粘膜,陥凹部に滲み出るような白苔の付着が見られ,また,易出血性粘膜が認められた.この顆粒状粘膜所見は,切除胃の病理組織標本の割面の所見でみると悪性リンパ腫の腫瘍細胞が浸潤性,一部,濾胞性に増殖して粘膜が肥厚した所見で,リンパ腫の本質的な所見と考えられる.このような肉眼所見を呈する例では反応性リンパ細網細胞増殖症(RLH)との鑑別が難しい.これらの例は病理組織学的にはLSG分類でびまん性・中細胞型が2例,びまん性・混合型が1例,濾胞性・中細胞型が1例であった.そして,これらの症例の病理組織診断をIsaacsonらの提唱したMALT型リンパ腫の概念で見直すと,全例MALT型リンパ腫の所見を備えていた.本邦でRLHと診断される例はMALT型リンパ腫であるという考え方は,臨床診断をする側にとってはすっきりした考え方である.これらの症例の集積が多い本邦での検討結果が待たれる.それまでは,臨床診断をする側は今回検討した顆粒状粘膜を呈する症例の診断を正確に行い,適切な治療を行う中で,十分な情報を得るように努めることが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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