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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻10号

1993年09月発行

文献概要

今月の主題 胃悪性リンパ腫―診断の変遷 主題

原発性胃悪性リンパ腫の内視鏡診断の変遷

著者: 川口実1 森みちる1 三治哲哉1 篠原聡1 葛爾傑1 半田豊1 森田重文1 大野博之1 吉田肇1 斎藤徳彦1 鶴井光治1 三坂亮一1 斉藤利彦1 廣田映五2 海老原善郎3 南康平4

所属機関: 1東京医科大学第4内科 2東京医科大学附属病院病理 3東京医科大学第2病理 4丹羽病院

ページ範囲:P.1053 - P.1063

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要旨 われわれの施設における原発性胃悪性リンパ腫の内視鏡診断の変遷について報告した.佐野の肉眼分類は深達度との相関が高いので,肉眼型別に検討した.表層型は深達度smである割合が高く,表層型胃悪性リンパ腫の診断が最も重要である.cobblestone所見(表層型の内視鏡所見の1つ)は,既に多くの内視鏡医が認識しているので,ほとんどの表層型病変の拾い上げは可能となってきた.われわれの施設でも1987年以後は,切除された胃悪性リンパ腫の50%は表層型であった.しかし,表層型の中でも“浅く陥凹した限局性槌色領域”を示す病巣は,病変として拾い上げることが重要である.潰瘍型,決潰型は癌や潰瘍との鑑別診断が問題となる.潰瘍縁が整であること,どこかに粘膜下腫瘍の要素を有することなどに注意することにより鑑別可能となった.巨大皺襞型や隆起型は,純粋な型はむしろまれで,多彩な変化や良好な伸展性などから診断可能となった.一方,超音波内視鏡は胃悪性リンパ腫の診断補助に使用しているのが現状である.われわれの施設では,深達度診断,リンパ節転移の有無,化学療法の効果判定に使用している.内視鏡的粘膜切除術(EMR)は,病変を十分採取することが可能であり,病理学的確定診断のために極めて有力である.しかし,まだ症例の積み重ねが少なく,合併症などの問題も残り,慎重に行わなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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