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文献詳細

雑誌文献

胃と腸28巻10号

1993年09月発行

文献概要

今月の主題 胃悪性リンパ腫―診断の変遷 主題症例

内視鏡像の急激な変化を来し,悪性リンパ腫との鑑別が困難であった胃RLHの1例

著者: 滝内比呂也1 芦田潔1 平田一郎1 田中雅也1 阪口正博1 岡成樹1 梅垣英次1 伊藤祐1 浅田修二1 大柴三郎1 岡島邦雄2

所属機関: 1大阪医科大学第2外科 2大阪医科大学一般・消化器外科

ページ範囲:P.1109 - P.1114

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要旨 患者は54歳,男性.半年前の内視鏡検査で,胃体下部前壁に粘膜集中を伴う陥凹性病変が発見された.生検の結果,悪性所見は得られず潰瘍瘢痕と診断された.しかし,6か月後の内視鏡検査時には,病変は胃体下部前壁から大彎にわたり広範にみられ,病巣内には多数の潰瘍性病変と結節状隆起が混在していた.生検では悪性リンパ腫が疑われ,内視鏡像を考え合わせ,表層型悪性リンパ腫と診断され胃切除術が行われた.切除標本の肉眼所見では病巣部には多発性のびらんがみられたが,健常部との境界は不明瞭であった.病理組織学的には,粘膜下層を中心にリンパ球,プラズマ細胞など単核球の高度の集簇が認められた.免疫組織化学的には,増生するリンパ球はT-cellまたはB-ce11のどちらか一方のmonoclonalityはなく,腫瘍性増生とは断定できずRLHと診断された.本例は病変が急激に増大し臨床的には悪性リンパ腫と考えられた胃RLHの1例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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